最近読んだ音楽史の本で、分かりやすくておすすめのものがあったのでご紹介します。
『音楽史を学ぶ』という本です。
音楽史を学ぶの利点
200ページほどで凝縮された内容で、西洋音楽史の古代から現代までの流れを一気につかむことができます。
出版社が「音楽芸術社」という音楽の教科書を作っている会社なのもあって、本の作り方が教科書のようになっています。
本の作り方でよいのが、どこに何が書かれているのか一目瞭然だということです。
例えばこのように、ページの横にインデックスがついているので、自分が見たい時代のページをすぐに開くことができます。
各時代の最初は、音楽史ではなく世界史(あるいは日本史)の説明になっています。音楽は社会と密接に関わって発展していますから、本来は世界史を無視することはできないのですが、音楽史の本ではそこに触れる余裕がないのが普通です。
『音楽史を学ぶ』では背景知識としての世界史について先に学べるようになっているのは他にはない特徴だと思います。
重要な用語が太字になっているのも教科書を彷彿とさせます。ぱっとページを見た時太字が目に入ります。太字を見ただけで周囲の説明が頭の中に浮かんでくるくらい読み込めば、音楽史の概要がかなり身に付いた状態だといえるのではないでしょうか。
そしてこの本。値段が他の音楽史の本に比べて安いのも大きなメリットです。
音楽史を学ぶの弱点
あくまで西洋音楽史に関する歴史の流れが重視されているので、日本の音楽史については西洋音楽が本格的に入ってきた明治以降のことしか書かれていません。
そのため、「教員免許試験のために日本の音楽史をしっかり勉強したい」というような方には、『はじめての音楽史』の方がおすすめです。
まとめ
内容が凝縮されているので一つ一つの用語はあまり掘り下げられていないものも多いです。この本一冊で深い知識を身に着けるのは難しいですが、例えば音大で各時代の音楽史を学んだ方が、自分の知識を点検するといった用途に非常に優れた本であるように感じました。
逆に、興味深いストーリーがあって惹きこまれてついつい読んでしまうような本ではないので、初めて音楽史を勉強する方に向いているかは微妙です。
もっととっつきやすい本が読みたい方には、『西洋音楽史再入門』などがおすすめです。