楽典 基礎 わかりやすい 本

楽典の基礎が学べる本で、初心者でもわかりやすいものをご紹介します。

楽典を学ぶ意味

ちょっと前置きなのですが、楽典というと、よほど音楽が好きな方以外はハードルが高く感じられると思います。

音階がドレミファソラシドであること。5線の楽譜のどこが「ド」の音か。など比較的分かりやすい内容に始まって、楽譜の最初に♯がいくつついたら何調になる。この曲はソナタ形式だ。など、簡単には理解しにくい内容まで、楽典という言葉には音楽のルール全般が含まれます。

特別に勉強しなくても音楽を聴いたり演奏したりして楽しむことはできます。ですが、理解するとそれだけ、音楽を楽しむ幅が広がります。

特にクラシック音楽は、歌詞がついていてキャッチーなメロディーの歌謡曲とは対照的に、歌詞もなければメロディーも複雑で覚えにくいものが多くあります。クラシックというだけで聴くのが躊躇われてしまったり、楽しみ方が分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これが、楽典を学ぶことで、クラシック音楽を格段に楽しむことができるようになるのです。

楽典初心者におすすめの本

今回の記事で楽典初心者の方におすすめの本としてご紹介したいのが、青島広志さん著の『やさしくわかる楽典』です。

著者は日本の音大最高峰である東京藝術大学をはじめとした音大で教鞭を取りつつ、作曲活動や多数の著書の執筆など多彩な才能を発揮されている方です。

私は演奏会などで実際に生でお話するのを見たことがあるのですが、とても親しみやすい語り口調で、少々毒舌な、スパイスの利いた話し方をされます。

一度聞いたら忘れられないような語り口調。それがそのまま本になったのが、『やさしくわかる楽典』なのです。

楽典初心者の方が絶対に選ぶべきではない本。それは、音大受験生が使うような本だと思います。もちろん音大受験生の方はそういった本をあたるべきですし、教科書を読むのが好きで、「配られたら授業が始まるよりも先に全部読んでしまう」というような形も、そのような本を選ぶことに問題はないでしょう。

ですが、そうでないならば、途中で挫折してしまう可能性は大いにあります。

音大受験生が使うような楽典の本は、必要な知識だけをまとめて書いているため、ひたすらルールが書かれているルールブックのようになってしまっているからです。

例えばこのような本ですね↓



新版 楽典―音楽家を志す人のための

では『やさしくわかる楽典』はどうなのかと言いますと、こちらは、著者の青島広志さんが面白おかしく、語りかけてくるように書かれています。

学校で、別に好きでもない科目の授業なのに、先生の話が面白くて気がついたらその科目が好きになっていたということはないでしょうか。

逆に、あまりに話がつまらなすぎて、教科書を自分で読んでいるのと変わらないと思ったことはないでしょうか。

この本は、間違いなく前者に属します。

面白い先生の話は総じて雑談が面白いものですが、この本には雑談が大いに含まれています。

何より重要なのは、「適度ないいかげんさ」があることです。多くの楽典の本というのはルールはこうだと書かれていて、音大の入試問題が載っていたりして、とにかくしっかり理解しないといけないという気持ちにさせてくるものです。

ですが、それは挫折のもとだと思います。

『やさしくわかる楽典』では、完璧に理解しなくて大丈夫なんだ。という気持ちを保ったまま最後まで読み切れるような工夫がされています。専門家向けではなく、あくまで一般の方向けに書かれているので、口調も丁寧で威圧感がありませんし、読者に完璧な理解など一切求めてきません。

ちょっと分からないところがあっても、安心して先を読み進めることができます。

そして、気がついたら最後まで読み終えて、読む前よりも少し、楽典に詳しくなっていると思います。

細かい知識が覚えたくなったら、また前のページに戻って読み返せば良いでしょう。全体をつかんでから部分を深く理解していけばよいのです。途中であまりに難しい内容があると先を読み進めることができず、全体を把握することができなくなってしまいます。それがないのがこの本の最大のメリットなのです。

それからもう一点。巷の音楽の専門書は、読者は用語の読み方がある程度分かっていて当然だと考えている節があります。こちらの本日ではふりがなが存分にふられています。読み方が分からない単語が出でくる度に、いちいちネットで読み方を検索したり、はたまた分からないままにして気持ち悪いまま先に進むといった事態を避けることができるでしょう。

まとめ

長々と書きましたが、『やさしくわかる楽典』は楽典の初心者の方が途中で挫折せず、雑談を交えながらの面白い授業を聞いているかのようにスラスラと読み進められる本だと思います。

逆に、音楽の専門家の方や音大を目指しているような方にとっては、言い回しがまわりくどく感じたり、余分な記述が多く感じたりするかもしれません。内容が薄いわけではないのですが、そこは好き好きだと思います(それから、音楽用語集は付いているのですが、索引がないのも専門家向けではないと感じるところです)。

わたし自身はある程度音楽の専門的な教育を受けたことがあり、楽典の本も何冊か読んで、途中で挫折したこともあります。この本に出会ったのがごく最近のことなのですが、最初にこの本を読んでいたら、その後の勉強がずいぶんとスムーズにいっていたのではないかなと思います。

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